不動産をお得に買いたい方は、任意売却物件の購入に興味を持っている方も多いと思います。
任意売却物件は、物件をお手頃な価格で購入することができる一方で、任意売却に関わる注意点もあります。
これらの注意点を知らずに購入してしまうと、トラブルに巻き込まれることが多いです。
では、任意売却物件に潜むリスクとは何でしょうか? 任意売却には様々なトラブルが存在します。
例えば、売主が負債を抱えている場合、その負債が物件を購入した後も引き継がれる可能性があります。
また、物件の状態や法的な問題も注意が必要です。
物件の状態が良くない場合、修繕や改装に多額のコストがかかるかもしれません。
また、法的な問題として、物件に抵当権や差押えがついている場合、その債権者からの返済請求があるかもしれません。
これらのトラブルを避けるためには、購入前にしっかりと調査や確認を行うことが重要です。
任意売却物件を購入する際には、いくつかの注意点に気を付ける必要があります。
まずは、物件の状態や法的な問題について、徹底的に調査することが必要です。
建物の修繕や改装にかかる費用や、物件に抵当権や差押えがついていないかどうかを確認しましょう。
また、売主の負債状況も調査することが重要です。
売主が借金を抱えていても購入後に追加の負債が発生しないように注意しましょう。
さらに、任意売却物件を売買する場合は、専門知識を持った不動産業者との協力も有益です。
彼らはあなたの利益を守るために、全体のプロセスを確実に進めるためのアドバイスや支援ができます。
この記事では、任意売却物件の購入に際して注意が必要なトラブルに焦点を当てて説明しました。
この記事を読むことで、任意売却とは何かを理解し、任意売却物件を購入する際に注意すべき点を把握することができるでしょう。
任意売却のとは?その特殊性
任意売却とは、債務者(住宅ローンの返済が滞っている人)が返済不能に陥った場合に、保証物(不動産)を債権者(銀行などの貸金業者)の同意のもとで売却し、ローン残債を一括返済する方法です。
ですから、この売却は売主の利益ではなく、債権者の利益を優先するものです。
売主が資金不足であることが特徴的な要因でもあります。
基本的には、問題を抱えたままの物件をそのまま購入する必要があり、素人が購入する場合にはリスクが伴います。
また、任意売却は競売とは異なり、強制力がないことも特徴です。
全ての事柄は債権者と債務者の交渉によって決まるため、スムーズに進むわけではありません。
任意売却は通常の売却とは異なる特殊な方法です。
そのため、トラブルも発生することがあります。
次の章では、任意売却において注意すべき5つのトラブルについて詳しくご紹介します。
売主が夜逃げして購入ができなくなる可能性
任意売却とは、物件を売却することを意味します。
しかし、売主が売却直前になって逃げ出すことがあります。
この場合、購入者は物件を購入することができません。
債務者は、任意売却によって債務を一括返済しますが、売却で返済できない残りの債務がある場合は、売却後もそれを返済する必要があります。
債務者にとっては、物件が高く売れないため、任意売却後も債務を返済し続けなければならないことがよくあります。
債務者にとっては、売却が決まるということは、売却後に残る残りの債務も決まるということです。
もし売却後に残る債務が支払えないと分かれば、最後の手段として逃げ出すこともあり得ます。
特に、売主が複数の債務者から借りている場合は特に注意が必要です。
通常、任意売却では、売主は売却後に債権者と交渉し、残債の返済額を減らすことがあります。
ただし、債権者の中に消費者金融のような強い債権者が含まれていると、残債の減額交渉が困難になる可能性があります。
多重債務者は、任意売却までに既に厳しい取り立てを受けているため、ストレスの状態にある人も多いです。
任意売却では、売主の精神状態が不安定であることも理解する必要があります。
また、任意売却の物件を購入する際には、売主の逃げ出しリスクを回避するため、販売契約時に手付金を支払わないことが一般的です。
一般的な不動産取引では、販売契約時に手付金を支払い、引き渡し時に残金を支払います。
しかし、任意売却では、売主が手付金を持ち逃げする可能性があるため、販売契約時に手付金を支払うことは避けるべきです。
したがって、任意売却の物件を購入する場合は、引き渡し時に一括で全額を支払うことが通常です。
もし、任意売却で手付金を求められた場合は、その条件を受け入れないようにしてください。
白紙解除がある
任意売却には、土壇場で債権者が売却を許可しない場合があることがあります。
特に、複数の債権者がいる場合には、売却額の配分に関して協議が行われることがありますが、その協議がまとまらないと債権者は抵当権の抹消に同意しません。
債権者は最後の最後まで協議できるように、任意売却の売買契約書には特約が含まれており、白紙解約可能な状態になっています。
具体的には、任意売却の売買契約書では、以下のような特約が一般的に含まれています。
「この契約は任意売却のため、万が一債権者の同意が得られず、引渡の日までに物件に設定された抵当権を抹消できなかった場合、この契約は白紙解約とする」という内容です。
任意売却は競売とは異なり、債権者への返済の配分に強制力はありません。
そのため、売却額の配分は債務者と債権者間の話し合いによって決まります。
債権者が1社の場合は、通常、ほとんどの売却額が債権者に渡るため、白紙解約に至ることは稀です。
しかし、債権者が複数いる場合には、配分について意見が分かれる場合があります。
競売では、抵当権を先に設定した債権者が優先されるという明確なルールがありますが、任意売却では抵当権者間の優劣について明確な決まりはありません。
そのため、債権者の中に声の大きい人がいると、配分に関して意見が対立することがあります。
通常、後順位の抵当権者は、債務者に対して抵当権の抹消に必要なハンコ代を請求します。
ハンコ代とは、実質的には債権回収のための費用ですが、抵当権の抹消に必要な印章代金として請求されるとされています。
もしハンコ代に納得がいかなければ、声の大きい債権者が「抵当権抹消のためのハンコは押さない!」と主張することがあり、結果的に売買は白紙撤回されることがあります。
白紙撤回される可能性が高い2つのケース
白紙解除されることの可能性が高い不動産物件は、複数の債権者が存在し、かつ売却価格が低い場合に該当します。
これは、購入希望者にとっては購入価格を抑えて物件を手に入れるチャンスとなりますが、逆にその低価格が不利となり、白紙解除という結果につながることがあります。
そのため、複数の債権者が関与する物件を任意売却によって購入する場合は、十分な注意が必要です。
積極的に情報収集し、白紙解除や売主の逃亡といったリスクに備えることが重要です。
契約不適合責任が免責されている
物件を任意売却する場合、売主の契約不適合責任は通常免責されていますので、注意が必要です。
契約不適合責任とは、通常の品質を欠いている状態を指します。
例えば、雨漏りやシロアリによる床下の腐食などが瑕疵に該当します。
一般的な不動産の売買では、売主が知らなかった隠れた契約不適合であっても、売却後に契約不適合が発見されると、買主は売主に対して損害賠償を請求するか契約を解除することができます。
これが売主が負う契約不適合責任です。
個人が行う一般的な不動産売買では、売主は通常3ヶ月間の契約不適合責任を負います。
売却後3ヶ月以内に契約不適合が発見されれば、買主は売主に対して損害賠償を請求するか契約を解除できます。
しかし、任意売却では、売主の契約不適合責任はすべて免責されています。
任意売却は債権者のために行われることが一般的であり、売却後に契約不適合が発見されて契約が無効になると、債権者が困ります。
そのため、買主が後から契約不適合責任請求をしてこないように、最初から特約で売主の契約不適合責任を免責することが一般的です。
また、仮に契約書上で損害賠償請求ができるとしても、売主には十分な資金がないこともあります。
そのため、買主が損害賠償請求権を持っていても、実際には何も得ることができない場合もあります。
売主の契約不適合責任が免責されているということは、買主にとって非常に高いリスクが存在します。
実際に、家屋が傾いていたというような場合でも、売主に対して何の要求もすることができません。
任意売却物件には相応のリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。
現況有姿での取引になる
任意売却では、物件の現状をそのままで売買することが基本的なルールです。
現況有姿とは、「そのままの状態」という意味です。
通常の不動産売買では、物件に問題がある場合、買主は問題を解消することを前提に交渉することができます。
例えば、よくある問題としては、境界線が確定していない、またはマンションの管理費や修繕積立金が滞っているということがあります。
境界線が未確定の場合、売買契約には、「境界が確定するまで契約を解除できる」という特約を含めることがあります。
改善できる問題については、引き渡しまでに解消してから売却するのが通常のやり方です。
しかし、任意売却の場合、売主には自分で問題を解消する資力がありません。
もし問題を解消する費用があるのであれば、債権者はそれを借金の返済に回してもらいたいと考えます。
そのため、任意売却では、売主に余計な負担をかけずに取引を行うために、現状有姿での売買が行われます。
つまり、問題がある場合でも、買主はそれを受け入れて購入する必要があります。
この現況有姿の取引方法は、瑕疵担保責任と同様に、非常にリスクが伴う点です。
もし物件に問題があることが明らかであれば、購入しないという選択肢もあります。
任意売却物件を購入する際は、リスクを理解しておくことが重要です。
公簿売買が原則
任意売却では、一般的には公募売買が行われます。
公募売買とは、土地の面積に関して登記謄本に記載されている数字を基準とすることを意味します。
ただし、実際の土地の面積は登記簿謄本の数字と異なる場合もあります。
通常の売買では、実際の面積と登記簿謄本の面積との差が大きい場合には、売買契約が成立してから引き渡しまでの間に実際の面積を計測し、その差額について引き渡し時に調整することがあります。
これを実測売買と呼びます。
しかし、任意売却では実測売買を許可することで、売買金額が契約時と引き渡し時で異なる可能性が生じてしまいます。
これにより、売買契約で取り決めた債務の返済額にずれが生じる可能性があります。
したがって、任意売却では、一度金額が合意されたら後から変更することは許されません。
そのため、実際の面積が登記簿謄本の面積と異なる場合であっても、後から精算することがないように、公募面積に基づいて面積を確定し、売買を行います。
これが公募売買と呼ばれる方法です。
つまり、任意売却では、購入した後に実際の土地の面積が予想よりも狭かったというトラブルも発生する可能性があります。
したがって、土地の面積については登記簿謄本の面積を基準とする必要があります。
まとめ
任意売却物件を購入する際には、以下の5つのトラブルに注意が必要です。
任意売却は、債権者のための売却手続きであり、後から変更があることを許容しません。
買主は物件をそのままの状態で購入する必要があり、それには相応のリスクが伴います。
価格が安いからと言っても、それにはかなりのリスクが存在することを念頭に置き、購入することが重要です。
まず、売主の信頼性について注意が必要です。
任意売却物件の場合、売主は債務者であり、売却には特殊な事情が存在します。
そのため、売主の信用worthinessはよく調査する必要があります。
債務者の個人情報や経済状況をチェックし、信頼性を確認しましょう。
次に、物件の状態についても注意が必要です。
任意売却物件は、債務者の経済的苦境からくる維持や修繕の不足が生じる可能性があります。
売主は物件のメンテナンスを省略することがあるため、建物の劣化や設備の故障などに対してリスクがあることを認識しましょう。
また、任意売却物件は短時間での売却が求められる場合があります。
このため、売主は経済的な問題により物件の正確な情報を提供することができないことがあります。
そのため、物件の詳細情報や法的な制約事項を確認することが重要です。
さらに、任意売却物件の契約条件にも注意が必要です。
債務者はローンや抵当権、任意売却の手続きなど、複雑な契約条件を抱えている場合があります。
購入者は、契約書や法的文書を詳細に確認し、自身の権利や責任を理解する必要があります。
最後に、資金面での注意が必要です。
任意売却物件は市場価値よりも低価格で販売される場合がありますが、それでも多額の費用がかかることがあります。
購入者は、物件価格だけでなく、修繕やリフォームに必要な費用、さらには手数料や税金などを加味して予算計画を立てる必要があります。
以上が、任意売却物件を購入する際に注意が必要な5つのトラブルについて詳しく説明してきました。