ようやく見つけた希望に近い中古マンション!
しかし、不動産仲介業者からの説明では、もうすぐ大規模修繕工事があるとの事。
大規模修繕工事ってなんで必要なの?お金はどこから支払うの?
この記事では、そんな疑問にお答えしてまいります。
マンションの大規模修繕はなぜ必要なのか?
マンションの大規模修繕が必要な理由は、主に以下の2つが挙げられます。
建物や設備の劣化によるもの
1. 時間の経過による建物や設備の劣化 マンションの建物や設備は、時間の経過とともに劣化していくため、大規模修繕が必要になります。
たとえ新築のマンションでも、年数が経過すれば、さまざまな箇所が汚れや傷みを起こすことは避けられません。
例えば、外壁や屋根は紫外線や風雨にさらされるため、乾燥によるひび割れやタイルの剥がれが発生することがあります。
定期的なメンテナンスによって、こうした劣化箇所を修繕することが大規模修繕の目的です。
建物の安全性と資産価値の維持向上によるもの
2. 建物の安全と資産価値の維持・向上 マンションの大規模修繕は、建物の安全性や資産価値を維持・向上させるためにも欠かせません。
例えば、建物の外壁や屋根が傷んでいると、雨漏りや断熱性能の低下などの問題が生じる可能性があります。
これらの問題が放置されていると、住民の生活に支障をきたすだけでなく、将来的に資産価値の低下にもつながる可能性があります。
定期的な大規模修繕によって、建物の安全性を確保し、資産価値を維持・向上させることが重要です。
以上のように、マンションの大規模修繕は、時間の経過による劣化を防ぎ、建物の安全性と資産価値を維持するために欠かせないものとなっています。
購入前にこれらの基礎知識を把握しておくことで、修繕工事に対する理解を深め、将来的な負担や生活への影響を最小限に抑えることができます。
マンションの大規模修繕とは
マンションの大規模修繕は、建物の劣化により修繕が必要になる箇所を定期的に整備することを指します。
具体的な修繕箇所は、外壁や屋根、バルコニーや手すりなどの鉄部分、給排水配管やエレベーター、共用の廊下や階段、エントランスやオートロック、宅配ボックス、機械式駐車場、フェンスなどがあります。
また、専用使用部分として玄関扉やサッシや窓枠、専用のバルコニーやルーフバルコニーの床や手すり、玄関ポーチや1階の専用庭、専用使用駐車場、トランクルームなども修繕が必要です。
マンションの大規模修繕の重要性
大規模修繕を行わないまま建物の劣化を放置すると、雨漏りや設備の故障などが発生し、住民の生活に支障をきたすだけでなく、建物の見た目やイメージも悪くなります。
また、古い設備の不具合や仕様の陳腐化により、住民の生活の利便性も低下してしまいます。
このような状況が続くと、マンションの資産価値も下がり、将来的に売却や賃貸に出す際に価格や家賃を下げざるを得なくなる可能性があります。
大規模修繕とマンションの購入
大規模修繕は、マンションの購入時に重要な要素の1つとなります。
中古マンションの場合、大規模修繕の有無や内容、修繕計画などは重要事項として、購入者へ告知する義務があります。
売買時に修繕の状況を確認することで、将来の修繕費用や住環境の改善の必要性を判断することができます。
したがって、マンションを検討する際には、大規模修繕の状況を忘れずにチェックすることが重要です。
マンションの大規模修繕にかかる費用
大規模修繕費用は1戸当たり約100万円の負担
公に開示された統計によると、大規模修繕工事にかかる費用のうち、「100万円から125万円」の範囲が最も一般的で、全体の27%を占めていました。
次に多いのは「75万円から100万円」で、その割合は24.7%です。
この調査結果から、マンションの大規模修繕工事において、一度の工事で1戸あたり約100万円程度の費用がかかるケースが多いことがわかります。
ただし、工事の費用は中古マンションの規模や建物の劣化状態などによって異なるため、これはあくまで参考値として把握しておきましょう。
修繕積立金の平均額
マンションの大規模な修繕工事は非常に高額な費用がかかるため、住民は毎月一定の金額を「修繕積立金」として積み立てる必要があります。
国土交通省の2022年度の調査によると、この修繕積立金の平均額は1万1,243円です。
ただし、これは2022年度の平均であり、現在はさらに上がっている可能性があります。
実際、2022年度以前の調査と比較しても、修繕積立金が不足していると回答しているマンションが34.8%存在することが分かっています。
そのため、修繕積立金が払えなくなったり、支払いが難しくなった場合は、滞納する前に早めに相談することが重要です。
もしも修繕積立金を支払えないと感じた場合は、早めに管理会社や管理組合に相談することが非常に重要です。
対応方法はマンションによって異なりますが、支払い期限を延長してもらったり、分割払いを勧めてもらったりといった対策を取ってもらえる可能性があります。
マンションの大規模修繕はどう行われる?
マンションの大規模修繕は、大きく2つの流れがあります。
一つは大規模なマンションで、管理組合内に「大規模修繕委員会」が発足して行われる場合です。
もう一つは中規模以下のマンションで、マンションの管理組合の運営主体である「理事会」が主導し、マンション管理会社と相談しながら進められます。
まず、大規模修繕委員会が発足する場合、数年前から大規模修繕計画に予定されている時期の前に、管理組合は組合員に対して参加希望者を募ります。
大規模修繕委員会には、マンションの区分所有者であり、毎月修繕積立金を支払っている管理組合員は誰でも参加することができます。
大規模修繕委員会は、通常、マンションの管理組合の理事会の下に位置する別の組織として設立されます。
マンションの大規模修繕委員会を発足する
大規模修繕委員会は、マンションの管理組合の中に設立される組織です。
この委員会は、数年前から予定されている大規模修繕計画に参加するための組合員を募ります。
大規模修繕委員会には、毎月修繕積立金を支払っている区分所有者であれば誰でも参加できます。
発足するためには、まず管理組合は組合員に対して参加希望者を募ります。
この募集は、大規模修繕計画に予定されている時期の数年前から始められます。
参加希望者は、修繕費用に貢献し続ける意向を持っており、かつ組合員でなければなりません。
大規模修繕委員会は、一般に理事会の下位組織として位置づけられます。
委員会の役割は、マンションの大規模修繕に関する計画や意思決定を行うことです。
大規模修繕計画には、建物の耐用年数に応じて必要な修繕事項や費用が明示されています。
委員会は、これらの計画を基に組合員の意見を取り入れながら修繕の方法や費用の分担方法を協議し、最終的な修繕計画を策定する役割を果たします。
マンションの修繕を進めるための手続きと準備
大規模修繕の方針が決まったら、見積もりを依頼する
修繕計画のために蓄積された資金が不足している場合、一時金の徴収を検討することもありますが、予算内に修繕箇所を絞り込むことが一般的です。
ただし、修繕が絶対に必要な箇所があり、予算内で対応できない場合は、一時金の徴収を検討することもあります。
また、大規模修繕の内容は、マンションの築年数や過去の修繕内容によっても変化します。
国土交通省の調査によれば、大規模修繕工事費について、初回が最も高く平均100万円/戸、2回目が97.9万円/戸、3回目が80.9万円/戸という結果になっています。
以上のような背景を考慮し、修繕の方針が固まったら、大規模修繕委員会は管理組合総会を開催して、組合員の合意を得て方針を決定します。
その後、正式な見積もりを依頼することになります。
工事会社を決定する
大規模修繕の基本的な方針と計画が決まったら、正式な見積もりを依頼します。
通常、複数の工事会社に見積もりを提出してもらい、施工箇所の詳細や施工方法、施工期間、費用などを比較検討するのが一般的です。
見積もりを基に、大規模修繕委員会は修繕内容と見積もり金額を精査し、1社または2社の候補を選定します。
その後、マンションの区分所有者全体の意見を集めるために、再度管理組合総会を開催します。
総会では、候補となっている工事会社や見積もりの内容を提案し、質疑応答を行い、投票によって最終的な決定をします。
大規模修繕の委託先が決定したら、管理組合と工事会社の間で正式な請負契約を行います。
なお、この決定には一定の賛成者数が必要であり、大規模修繕の程度によって異なります。
通常、共用部分の軽微な変更の場合は過半数の賛成が必要であり、重大な変更の場合は3/4以上の賛成が必要となります。
大規模修繕工事による生活への影響
大規模修繕工事が行われると、マンションの居住者の日常生活に様々な影響が及びます。
例えば、大規模修繕工事では建物全体に足場を設置し、外壁やベランダの工事を行います。
そのため、作業のために自宅のベランダに人の出入りがあり、洗濯物を外に干せなくなります。
また、作業時間中は、臭いや粉じんが室内に入るのを防ぐため、窓を開けられなくなったりすることもあります。
さらに、大規模修繕工事中は、騒音や振動が発生することもあります。
たとえば、共用部の工事が行われる際には、階段や廊下で騒音が発生することがあります。
これにより、居住者の方々は静かな環境での生活が難しくなるかもしれません。
また、大規模修繕工事の進行に伴い、一時的にエレベーターやオートロックなどの共用設備が使用できなくなることもあります。
そのため、マンション内の移動に制約が生じる場合もあります。
以上のように、大規模修繕工事中は、居住者の方々の日常生活に多少の不便や制約が生じることがあります。
それにもかかわらず、大規模修繕委員会は、工事会社と居住者のかけ橋となり、工事のスムーズな進行と居住者の理解を図る役割を担っています。
マンションの大規模修繕に関連する重要なポイント
マンションの大規模修繕では、以下のことを求められることがあります。
・ベランダの物は全て室内にしまう必要があります。
ウッドデッキや植物などは、場合によっては撤去するよう求められることもあります。
・網戸は外し、一時的に室内に保管する必要があります。
・BSアンテナやCSアンテナなどは取り外して保管する必要があります。
・エアコンの室外機は移動する必要があります。
・駐車場の車を移動する必要があります。
大規模修繕の際は、廊下や階段の工事中は建物内で迂回する必要があります。
これにより、一定期間のストレスや不便を感じるかもしれませんが、スムーズな工事のためには居住者の理解と協力が必要です。
ただし、作業日程や一時的な荷物の搬出に立ち合いが必要な場合や協力が難しい場合は、大規模修繕委員会や管理組合に相談することをおすすめします。
大規模修繕は、約13年~16年に1度行われることが多いものです。
同じマンションに30年~50年住み続けた場合、3度の大規模修繕を経験することになります。
新築マンションでは当面大規模修繕は必要ありませんが、修繕積立金の額が十分でない場合、大規模修繕時に必要な費用が不足する可能性があるため、修繕積立金の額の変化について確認することが重要です。
特に中古マンションを検討している場合は、次の大規模改修工事の予定や積立金の額など、大規模修繕に関連する情報を確認することを忘れないでください。
また、大規模修繕では、稀に工期が延びるといった工事中のトラブルや、工事完了後に補修箇所から雨漏りやタイルの剥がれが見つかるなどのトラブルが発生することもあります。
これを防ぐためには、工事会社の選定が非常に重要です。
大規模修繕の経験が少ない工事会社では、規模の大きなマンションの対応に追いつかない場合もありますので、注意が必要です。
まとめ
もしも、お住まいのマンションで大規模修繕が必要になった場合には、アフターサービスの有無も重要な要素です。
大規模修繕の委託先は、マンションの所有者である皆さんが議決権を持っていますので、この点についても皆さんが関与することが大切です。
住まいとして大切なマンションを購入した際には、ぜひ大規模修繕に関して積極的な発言や協力をお願いいたします。