中古住宅の売買において、インスペクションとは、住宅診断を行うことを指します。
トラブルを未然に防ぎ、取引を安心して行うために非常に重要な役割を果たしています。
今回は、インスペクションについて詳しく解説し、そのメリットや依頼する際のポイントについてお伝えします。
中古住宅の売買におけるインスペクション
インスペクションとは?
インスペクションとは、英語で「調査」や「点検」という意味を持ちます。
中古住宅の売買を検討している方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?中古住宅をトラブルなく安心して売買するためには、インスペクションが非常に重要です。
具体的には、中古住宅の劣化や欠陥を調査するだけでなく、修理の必要な時期や費用に関するアドバイスも行われます。
このインスペクションを行うのは、ホームインスペクターと呼ばれる専門家たちです。
彼らは民間の資格を取得した人々や建築士が含まれます。
一方、インスペクションを依頼するのは、主に中古住宅を売却する売主です。
もし中古住宅の売却時に、建物の欠陥に気づかずに取引を行ってしまうと、引き渡し後に買主とトラブルに発展する可能性があります。
しかし、事前にインスペクションを行っておけば、専門家による客観的な診断結果に基づいて、売り出し前に建物の状態を明確にすることができます。
そのため、売却時のトラブルを未然に防ぐための予防策として、インスペクションは非常に有用です。
また、買い手がインスペクションを行う場合には、直接インスペクターに質問し、アドバイスを受けることも可能です。
中古住宅市場におけるインスペクション
最近では、中古住宅市場においてインスペクションの重要性がますます高まっています。
この重要性の高まりは、法律の改正にもよるものです。
注目すべきは、2018年の民法改正により、売主は必要な情報を提供する義務を負ったことです。
つまり、売主は買主に対して事故や欠陥の報告義務を負うようになりました。
この改正により、売主は建物の状態を事前に十分に把握し、トラブルを未然に防ぐ必要が生じました。
そのため、インスペクションがますます重要視されるようになっています。
以上が、中古住宅の売買におけるインスペクションのメリットや依頼する際のポイントについての詳しい説明でした。
インスペクションを通じて、安心して取引が行えるようにしましょう!
中古住宅の売買におけるインスペクションの重要性とは?
不動産業法の改正により、中古住宅の売買時には不動産会社が売主と買主に対してインスペクションの説明を義務付けられるようになりました。
これは、中古住宅の売買において欠陥や不具合を事前に把握し、トラブルを未然に防ぐことを目的としています。
インスペクションは日本ではまだ一般的でない概念ですが、欧米では一般的な手法です。
日本でもこれが普及すれば、より安心して中古住宅の売買ができるようになり、中古住宅やリフォーム市場の活性化が期待されています。
2020年の民法の改正で明確化
さらに、2020年の民法の改正により、中古住宅の売買に関するルールが明確化されました。
これにより、売主が欠陥や不具合を知らずに売買を行った場合、その責任がより重くなることになります。
売主は、買主とのトラブルを回避するためにも、インスペクションの重要性を十分に認識しておく必要があります。
インスペクションは専門家の立ち会いのもとで行われ、屋根や外壁、内壁、排水管、給湯管などの状態が目視でチェックされます。
さらに、修繕が必要な箇所がある場合には、その費用や実施のタイミングまでアドバイスがされます。
一般的には、売買契約の前に一度行われ、所要時間は1時間から3時間ほどです。
売主側のメリット
早く、高く物件を売れる可能性が高まる 売主にとっての大きなメリットは、売却する物件をインスペクション済みとして売り出すことです。
インスペクション済みの物件は「プロの検査済みでトラブルが起こりにくい」と位置づけられるため、買主が見つかりやすくなります。
さらに、適切な修繕を行うことで売却価格を上げることも期待できます。
インスペクションによって物件の状態を正確に示すことで、売買契約が円滑に進むこともメリットです。
引渡し後のトラブルが未然に防げる インスペクションによって物件の状態を詳細に把握することで、引渡し後に起こり得るトラブルを未然に防ぐことができます。
例えば、買主から修理費用の請求やクレームが出てしまうことを防ぐことができます。
インスペクションによって物件の問題点や修繕すべき箇所を明らかにすることで、買主とのトラブルを回避することができるのです。
また、引渡し後のトラブルの可能性を低くすることで、売主自身の評判や信頼性も向上することができます。
これにより、今後の不動産取引での優位性を獲得することができるでしょう。
買主側のメリット
買主にとっての最大のメリットは、インスペクション済みの物件を購入することで安心感が得られることです。
プロによる第三者的な検査により、建物の状態が明らかになります。
これにより、検査を受けていない物件と比較して、不具合の有無や内容を明確に把握することができ、納得して物件を購入することができます。
さらに、修繕が必要な箇所や劣化状況が分かるため、購入後の維持費やリフォーム費用などを予測することができるのも買主にとって嬉しいポイントです。
もし売主がインスペクションを実施していない場合は、買主側でインスペクションを検討することをおすすめします。
インスペクションの費用
ホームインスペクションの費用は、一般的には戸建住宅とマンションで異なります。
戸建住宅の場合、費用の相場は約5万円から約15万円程度であり、マンションの場合は約4万円から約10万円程度となっています。
ホームインスペクションの基本料金には、外壁や床下の詳細調査や屋根裏の詳細調査は含まれていない場合が多く、これらの項目を調査したい場合はオプションとして追加料金が発生することがあります。
また、戸建住宅とマンションでは費用に差が生じることもあります。
一般的に、戸建住宅の方が費用が高くなる傾向があります。
これは、戸建住宅の場合には建物の面積や構造の複雑さによる作業量の増加が関係しています。
マンションの場合には一部の共有部分などのみを対象とすることが多いため、費用が相対的に低くなることが一般的です。
補助金の利用でお得になる
上記のように、インスペクションにかかる費用は安くありませんが、実施によって補助金を受けられる可能性があります。
補助金の制度には、国が行っている「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「住宅ストック循環支援事業」のほか、各自治体が独自で行っているものもあります。
たとえば、長野県の「あんしん空き家流通促進事業」は、中古住宅におけるインスペクション費用の2分の1以内(1戸当たりの上限は5万円)が補助される制度です。
これらの補助金には、インスペクションの実施以外にも条件が定められていますが、自分の状況に合えば経費の節約につながります。
例えば、あなたの地域にも補助金の制度があるか、調べてみることをお勧めします。
依頼はどこにするのがよい?
インスペクションを行う会社には、不動産会社やリフォーム会社のほか、インスペクションの専門業者も存在します。
しかし、作業は買主と売主の双方にとって公正な立場で行われる必要があります。
そのため、一般的にはインスペクションの専門業者に依頼してもらうことが推奨されます。
ただし、一番大切なのは「どの会社にインスペクションを依頼するか?」です。
単に価格が安いだけで決めてしまうと、十分な検査をしてもらえなかったり、不必要なリフォームを勧められたりして、結果として損をする可能性があります。
ホームインスペクションの会社を選ぶ際には、以下のポイントに重点を置くことが重要です。
– 会社の実績や経験が、対象となる建物の特徴に合っているか 依頼する会社の実績やこれまで関わってきた建物の種類については、必ず確認すべきです。
インスペクションの対象となる建物によって見るべきポイントは異なるため、該当の建物を扱った経験があれば、より適切な診断が行えるでしょう。
会社選びのポイント
建築士の資格を持つホームインスペクターがいる会社を選ぶ際には注意が必要です。
1級建築士の資格を持っているホームインスペクターでも、大規模施設と戸建て住宅では、必要な知識や技術が異なります。
このため、資格だけでなく経験や実績、定評のある建物に対する能力も重視すべきです。
また、インスペクションの内容や結果を一般の人にも分かりやすく説明してくれる会社を選ぶことも重要です。
インスペクションは、売主や買主が建物の状態を正確に把握するためのものですが、内容を分かりやすく説明してくれなければ意味がありません。
インスペクションを依頼する際には、説明に買主が立ち会えるかどうかも確認しておくべきでしょう。
また、売買取引に影響を及ぼす可能性もあるため、対応やコミュニケーションに違和感がない会社を選ぶことも重要です。
さらに、安い料金で提供している業者にも注意が必要です。
安価な検査料金の裏には、リフォームや修繕工事などを勧めて利益を得ようとする可能性があるからです。
適正な検査を受けるためには、それ相応の費用がかかることを理解しましょう。
価格だけでなく、会社の実績や経験などを総合的に判断することが重要です。
インスペクション当日は立ち会う方が良い?
まず、結論からお伝えしますと、一般的には専門家が立ち合いのもとで建物の調査を行います。
ただし、立ち会いが難しい場合、調査自体は専門家が独立して行うこともできます。
しかし、私たちは依頼主の皆様に、できるだけ立ち会いをおすすめしています!なぜなら、自身で調査の内容を目で確認することで、より詳細な結果を理解し、納得することができるからです。
当日にどのような箇所をチェックし、どのような検査が行われるのかを直接目撃することで、専門家の意見をより理解しやすくなるはずです。
また、後日送られてくる診断結果書類を自身で読むよりも、専門家からの説明を受けることで、より深い理解が得られるでしょう。
立ち会いの所要時間は一般的には1時間から3時間ほどで、物件の売買契約を行う前にインスペクションが行われることが一般的です。
もちろん、時間の都合で立ち会いが難しい場合もありますが、費用を支払った以上、できるだけ立ち会いをしていただくことをお勧めします。
インスペクションと瑕疵保険の検査の違い
「瑕疵保険の検査とインスペクションは同じことではないの?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、瑕疵保険の検査とインスペクションは混同されがちですが、その目的や内容は異なります。
瑕疵とは、売買する物件に見られる傷や故障などの欠陥のことを指します。
瑕疵保険の検査は、売買契約の際に物件に瑕疵がないことを確認するために行われます。
一方、インスペクションは、売主や買主が建物の状態を正確に把握するために行われます。
つまり、インスペクションは建物の現状を客観的に評価し、必要なリフォームや修繕の提案も行うものです。
瑕疵保険の検査は物件の欠陥に焦点を絞り、確認のために行われるものです。
したがって、目的や内容に違いがあるため、混同せずに区別して考える必要があります。
瑕疵保険とインスペクションの違い
瑕疵保険は、買主の安心を守るために売主が加入する、もしくは買主自身が加入する保険です。
具体的には、既存住宅売買瑕疵保険と呼ばれるもので、定められた範囲内の瑕疵(不具合や劣化)の検査と補償を行います。
購入後に瑕疵が見つかっても、瑕疵保険に加入していれば損害を補償してもらえるため、売主と買主の双方にメリットがあります。
ただし、瑕疵保険は全ての中古住宅で利用できるわけではなく、定められた基準に合格した物件にのみ適用されます。
瑕疵保険の検査目的は、保険に加入する基準を満たしているかどうかを確認することに主眼が置かれています。
そのため、検査の範囲は保険の対象部位のみです。
具体的には、屋根や外壁などが対象となります。
また、瑕疵保険の検査では修繕のアドバイスは行われません。
一方、インスペクションは、住宅の品質を保持することを目的としています。
そのため、検査だけでなく、修繕のアドバイスや、必要に応じて目視以外の高度な検査も行うことができます。
具体的には、小屋裏や床下の点検口からの目視検査の他、詳細診断や耐震検査などのオプションも利用することができます。
したがって、将来を見据えて長期的な安全性を確保するためには、瑕疵保険の検査だけでは不十分な場合もあります。
同様に、瑕疵保険を利用する場合でも、状況によってはインスペクションを併せて行うことで、より安心して不動産の売買を行うことができるでしょう。
まとめ
不動産売買は生活に大きな影響を及ぼす重要な取引です。
思わぬトラブルを予防するためには、インスペクションが有効な対策となります。
瑕疵保険とインスペクションの違いを理解し、具体的な物件の状況に応じて適切な対策を取ることが大切です。