多くの人が家を購入する際には、住宅ローンの利用を考えます。
その際に覚えておかなければならないのが、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)です。
住宅ローン減税の内容は毎年の税制改正で変更されることがありますので、最新情報を確認することが重要です。
今回は、令和6年度に行われる税制改正による住宅ローン減税制度の詳細について詳しく説明します。
住宅ローン減税とは
住宅ローン減税とは、国が住宅の購入を支援するために設けられた制度です。
この制度は、住宅ローンを利用して自分の家を新築したり、購入したり、改築したりする人に適用されます。
具体的には、住宅ローンの借り入れを開始した年から最大で13年間(中古住宅の場合は10年間)にわたって、年末時点の住宅ローン残高の0.7%分が所得から控除され、所得税や住民税の減税に繋がります。
ただし、住宅ローン減税は住宅ローンを利用するだけで自動的に適用されるわけではありません。
申請手続きが必要ですが、その詳細については後で説明します。
重要な点は、住宅ローン契約を締結した翌年に確定申告を行う必要がありますので、これを忘れないようにしましょう。
住宅ローン減税の対象となる住宅ローン
住宅ローン減税を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
まず、対象となるのは自己居住用の建物です。
別荘やセカンドハウスは対象外ですので、注意が必要です。
また、新築・購入・増改築に直接かかった費用である必要があります。
そして、その費用は原則として金融機関からの借り入れによって支払われる必要があります。
自己資金で建物を取得した場合は、住宅ローン控除の対象にはなりませんのでご注意ください。
また、住宅ローンの返済期間は10年以上である必要があります。
この条件に合わない場合も、住宅ローン減税を受けることはできません。
さらに、住宅ローン減税を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
これを超えている場合は、住宅ローン減税の恩恵を受けることはできません。
また、住宅ローン減税には土地の購入費も含まれます。
ただし、土地の購入は住宅ローンを利用せず、建物の取得に自己資金を使っている場合は、住宅ローン控除は適用されませんので、ご注意ください。
さらに、給与所得者は勤務先からの借り入れでも住宅ローン減税を利用できますが、利率が0.2%未満の場合は対象外となります。
したがって、利率が条件を満たしているかどうかも確認が必要です。
また、新築、中古、増改築によっても条件が異なる場合があります。
対象になるかどうかを確認する際には、丁寧にチェックする必要があります。
以上のように、住宅ローン減税の要件は複数ありますので、該当するかどうかをしっかりと確認しましょう。
住宅ローン控除とすまい給付金について解説
条件や期間、限度額とすまい給付金との違いについて解説
住宅ローン控除とは、住宅を購入するために利用した住宅ローンに対して、一定の条件を満たすことで所得税から一定割合の金額が控除される制度です。
この制度を利用することで、不動産購入時の負担を軽減することができます。
住宅ローン控除を利用すると、年末時点での住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます。
例えば、年末時点でのローン残高が2,500万円であれば、1%に相当する25万円が控除されることになります。
不動産の購入額が数千万円以上になる場合も多いため、わずか1%でも大きな節税効果が期待できます。
住宅ローン控除は10年間の期間が適用されます。
10年間にわたって、毎年年末時点での住宅ローン残高の1%が控除対象となります。
ただし、住宅ローン控除には限度額があります。
通常、10年間で最大400万円の控除が受けられます。
例えば、住宅ローン残高が4,000万円を超えていても、毎年の控除の上限は40万円となります。
ただし、一部の優良住宅と認定された場合、控除の上限が50万円となり、10年間で最大500万円の控除を受けることができます。
優良住宅には、長期優良住宅や低炭素住宅などがあります。
一方、すまい給付金は、住宅購入時に現金が給付される制度です。
住宅ローン控除の補完的な役割を果たします。
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるためにはいくつかの条件があります。
まず、対象となるのは「年収3,000万円以下」の方です。
年収が3,000万円を超える場合は、控除を受けることができません。
ただし、合計所得金額には給与所得だけでなく、退職金や金融資産の売買によって得られた所得も含まれるので注意が必要です。
また、住宅ローンを組んだ年の翌年の6月に住民税から控除が行われます。
この控除は特別な手続きは必要ありません。
住民税から控除しきれなかった分が自動的に差し引かれます。
控除がしっかり反映されているか、確認するためには「住民税決定通知書」を確認しておきましょう。
もしも住宅ローン控除の金額が所得税から引ききれない場合、住民税からの控除も受けることができます。
具体的には、年末時点でのローン残高や控除可能額が所得税額を上回る場合です。
このような場合は、引ききれなかった分が住民税から控除されます。
住宅ローン控除は所得税からの控除が原則ですが、住民税からの控除も行われることがあるので、注意が必要です。
家計の節税に有効な制度ですので、ぜひご活用ください。
夫婦で住宅ローンを組む際の重要な注意点
住宅ローンの控除は、共働きの夫婦ならば二人とも受けることができます。
もし夫だけで控除を受けると余ってしまう場合でも、妻の控除にも割り当てることができるため、家計にとって助けとなります。
ただし、注意点は住宅を購入する際の名義にあります。
夫婦で共同名義にすれば「連帯債務者」または「ペアローン」となり、控除を受けることができますが、「連帯保証人」となってしまうと控除は利用することができません。
以下で詳しく説明します。
▶連帯債務者 連帯債務者とは、債務者同士がそれぞれ独立した責任を負う形式のローンの組み方です。
しかし、住宅ローン契約においてはあまり多く用いられません。
▶ペアローン ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む形式です。
共働き夫婦の場合、最も一般的なローン形式となります。
▶連帯保証人 連帯保証人とは、主な債務者がローンの返済ができない場合に、代わりに返済義務を負う人のことです。
連帯保証人は債務者本人ではないので、夫婦でも連帯保証人になってしまう場合は住宅ローン控除を利用することはできません。
また、中古住宅でも条件を満たしていれば住宅ローン控除を受けることができます。
条件は以下の通りです。
・自ら居住すること ・床面積が50m2以上であること ・耐震性能を持っていること ・住宅ローンの返済期間が10年以上 中古マンションにおいても同様に住宅ローン控除を利用することができますが、少し条件が異なります。
条件は以下のとおりです。
・床面積が50m2以上であり、そのうちの2分の1以上が自分の居住用であること ・耐震性能を持っていること ・住宅ローンの返済期間が10年以上 ・建築後に使用されたものであること ・築20年以内であり、RC造の場合は築25年以内であること 条件は厳しくなりますが、できる限り利用することをおすすめします。
中古住宅や中古マンションでも、住宅ローン控除のメリットを活かすことができるのです。
リフォームの場合も控除を受けられる?
住宅ローン控除は、通常はマイホームに居住することを条件としていますが、リフォームの場合でも控除を受けることができます。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
1. リフォーム工事費が100万円を超えること 2. リフォーム工事後の床面積が50m2以上となること 3. 居住部分の工事費が改修工事全体の費用の1/2以上であること また、工事内容も以下のいずれかに該当する必要があります。
1. 大規模な修繕や模様替え工事(増築、改築、建築基準法に規定による) 2. 1部屋について床または壁の全てを修繕、模様替えする工事(居室、浴室、キッチンなど) 3. 耐震改修工事 4. 一定のバリアフリー化工事 5. 一定の省エネ対応工事
転勤や単身赴任することになった場合も控除を受けられる?
住宅ローン控除は原則として「マイホームに居住すること」が条件とされていますが、転勤や単身赴任によって居住することができなくなった場合でも、一定の条件を満たすことで控除を受けることができます。
具体的な条件は以下の通りです。
– 単身赴任の場合:引き続き家族がマイホームに居住していれば、引き続き住宅ローン控除を受けることができます。
また、所有者の住民票を単身赴任先に移すことも可能です。
– 二世帯同居で夫婦のみ転勤する場合:二世帯同居の場合、親家族もしくは子家族を扶養していることが証明できれば、住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、別生計の家族がマイホームに残る場合は利用できません。
また、家族全員で転勤し、マイホームを賃貸に出している場合も、住宅ローン控除を利用することはできません。
以上が住宅ローン控除の要件です。
要件を確認したうえで、自身の状況に合致するかどうかを確認しましょう。
住宅ローン控除に必要な条件とは
中古住宅を控除するには、自分自身がその住宅に住んでいること、床面積が50㎡以上であること、耐震性能を持っていること、住宅ローンの返済期間が10年以上であることが条件となります。
中古マンションを控除するには、床面積が50㎡以上であり、その2分の1以上が自分自身の居住用であること、耐震性能を持っていること、住宅ローンの返済期間が10年以上であること、建築後に使用されたものであること、築20年以内(もしくはRC造の場合25年以内)であることが条件です。
リフォームを控除するには、リフォーム工事費が100万円を超えること、リフォーム工事後の床面積が50㎡以上であること、改修工事全体の費用の半分以上が居住部分の工事費であること、大規模な修繕や模様替え工事、1部屋について床や壁の全てを修繕または模様替えする工事、耐震改修工事、一定のバリアフリー化工事、一定の省エネ対応工事が条件となります。
単身で控除するには、家族がマイホームに引き続き居住しているか、所有者の住民票を単身赴任先に移すことができます。
2世帯で控除するには、親や子供を扶養していることを証明できれば、住宅ローンの控除を受けることができますが、別々に生計を立てている場合は受けることができません。
家族全員が転勤する場合、家族全員で転勤し、自宅を賃貸に出している場合は、住宅ローンの控除を受けることはできません。
住宅ローン控除の額は大きいですが、申請をしなければ受けることはできません。
住宅を購入する際には必ず条件をチェックしましょう。
住宅ローン控除を受けるために必要な書類は、入手先ごとに異なりますので、各々の条件に合わせた必要書類を準備してください。
住宅ローン控除を受けるための確定申告方法
住宅ローン控除を受けるためには、入居した翌年の確定申告時に必要書類を税務署に提出する必要があります。
確定申告の方法は、「確定申告書(A書式)」を最寄りの税務署あるいは国税庁ホームページから入手し、記入します。
申告時期は原則として2月16日から3月15日までです。
必要書類を揃えて税務署に直接提出する方法や郵送する方法、インターネットで申請する方法がありますので、自身の立地に合わせて選ぶと良いでしょう。
多くの書類が必要であり、準備に時間がかかるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
また、2年目以降に関しては年末調整で所得税が調整されますので、控除証明書と住宅ローン残高証明書を添付することが重要です。
住宅ローン控除に関する疑問点を解決しましょう。
住宅ローン控除の気になるポイントを解決!
最後に、住宅ローン控除に関する気になるポイントを解決していきます。
これらを知らないと損をすることがありますので、一緒に確認していきましょう!併用できるふるさと納税 ふるさと納税とは、自分の希望する自治体に寄付をすることで所得税や住民税の控除が受けられるだけでなく、返礼品も受け取ることができるお得な制度です。
住宅ローン控除とふるさと納税は併用することができますが、事前に控除額を計算しておくことが大切です。
なぜなら、住宅ローン控除額が大きい場合、ふるさと納税を受けることができなくなる可能性があるからです。
この点には注意しましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済の方法と利点について詳しく解説
住宅ローンの繰り上げ返済は可能です。
ただし、ローン残高が多いほど、繰り上げ返済による節税効果は小さくなってしまいます。
なぜなら、繰り上げ返済した分だけ節税メリットも減少するからです。
したがって、繰り上げ返済をする際には、繰り上げ返済による利息の軽減効果と住宅ローン控除による節税メリットを計算して、利用することが望ましいです。
具体的な手続きは、住宅ローンを利用している金融機関で行うことができます。
繰り上げ返済の方法としては、全額を一括で返済する方法や、一部の金額を「期間短縮型」あるいは「返済額軽減型」といった方法で返済することができます。
また、特定のケースでは還付が0円になることもあります。
例えば、既に年末調整で所得税額が0円になっている場合です。
このような場合は、住宅ローン控除の申請をしても還付は受けることができません。
なぜなら、控除できるものが存在しないからです。
そのため、還付が0円になるのは当然とも言えるでしょう。
さらに、住宅ローン控除の受けられる条件は、勤務形態ではなく「納税額」によって決まります。
つまり、パートタイムの労働者であっても、所得税や住民税を納税していれば、住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、扶養の範囲内で働いている場合は、元々控除対象となる税金が存在しないため、住宅ローン控除の対象外となります。
まとめ
住宅ローン控除は住宅不動産を購入する際には必ずチェックしておくべき強力な節税制度です。
手続きは1年目は多少面倒かもしれませんが、2年目以降は年末調整の際に済ませることができるため、比較的手間が少なくなります。
余裕を持って手続きを進めていきましょう。