土地の売買を行う場合、私道に関する正しい知識を持っておくことは非常に重要です。
知識を持たずに「私道負担あり」と表示された土地を購入してしまうと、思いがけない税金の負担が発生する可能性があります。
私道は一部の場合、特定行政機関によって「位置指定道路」として指定されています。
今回は、位置指定道路の仕組みと固定資産税との関係について詳しく説明していきます。
位置指定道路とは
まずは、私道について詳しくお伝えします。
「私道」とは、個人が所有している道路のことを指します。
一般道路とは異なり、私有地内であるため、一般の人々が自由に出入りすることはできません。
私道は、家や建物へのアクセス道路や、複数の住宅が集まる住宅地内部の通りなど、様々な用途で利用されています。
私道における道路の決まりは、2つのポイントで説明できます。
1つ目のポイントは、私道の管理責任です。
私道は、所有者もしくは利用者によって管理されます。
具体的には、私道の舗装や維持、清掃などの責任が個人や集合住宅の管理組合に帰属します。
また、私道の使用や通行に関しても、所有者や利用者のルールに従う必要があります。
例えば、駐車場や通行禁止区域の指定、速度制限などがあります。
2つ目のポイントは、私道の利用制限です。
私道は、一般の人々が出入りできないため、通行する際には特定の条件を満たす必要があります。
例えば、私道を利用するためには所有者の許可が必要であり、無断での通行は違法行為となります。
また、私道に立ち入るためには、進入権を持つ人や特定の住民に限られることもあります。
これは、プライバシーやセキュリティの確保のために行われる制約です。
以上が私道に関する道路の決まりの2つのポイントです。
私道の管理責任や利用制限を理解することで、位置指定道路についての理解を深めることができます。
公道と私道の違い
公道というのは、我が国の行政機関である国や都道府県、市町村などが管轄し、整備や管理を行っている道路のことを指します。
この道路は、税金などで資金が供給されており、民間の負担はありません。
公道には高速道路、国道、県道、市町村道などが含まれることがあります。
一方、私道とは、個人や会社、または団体が所有する土地内にある道路を指します。
私道は所有者が明確に定まっているため、建設や管理は所有者自身や関係する民間の組織が行う必要があります。
また、私道は私有地の一部として位置づけられるため、通行するためには特別な手続きや許可が必要になることが一般的です。
私道は原則として、所有者自身や許可を得た人以外は通行することができません。
加えて、私道の所有者は土地の固定資産税を負担する必要があります。
この税金は、土地や建物の所有者が自治体に地域のインフラ整備や公共サービスに貢献するために支払うものです。
私道の所有者は、その土地と私道の利用権を持つことにより、固定資産税の負担も求められることになります。
建築基準法上の接道義務を果たした道路か
建築基準法では、都市計画区域または準都市計画域内で建物を建てる場合、道路に面していることが求められます。
具体的には、道路の幅が4m以上であり、建物との距離が2m以上必要です。
このような要件が存在する理由は、防災や救急のために安全な出入り口を確保するためです。
つまり、建物の建築に必要な建築条件の一つとして、道路へのアクセスを確保するという接道義務が定められているのです。
ただし、例外的なケースもあります。
一部の特例に該当する場合は、接道義務を免除することも可能です。
しかし、全ての場合で免除が認められるわけではありません。
免除申請を行っても、許可されない可能性もあるため、注意が必要です。
接道義務を果たしていない土地に建物を建築するためには、まず免除申請を行う必要があります。
申請が受理されれば、接道義務を免除されているという許可が得られます。
しかし、免除申請が必ずしも認められるわけではないため、建物を建築する際には注意が必要です。
接道義務をクリアしていない状態で建物を建築すると、法令違反となり、建築物の取り壊しや罰則の対象となる可能性もあるため、建築を計画する際は、これらの規定をしっかりと把握しておくことが重要です。
位置指定道路の仕組み
位置指定道路とは、特定行政庁から指定された私道のことを指します。
指定された道路は、特定の条件や要件を満たしていることが求められます。
この指定道路が生まれる具体的なケースを見てみましょう。
位置指定道路の仕組みとつくられる主なケース
位置指定道路とは、自治体や特定の行政機関が指定した道路のことです。
通常、私道である道路が位置指定道路となることが多いです。
位置指定道路の多くは、接道義務によって生まれます。
具体的な例を挙げると、大きな土地を分割して利用する場合があります。
たとえば、手前の土地だけが道路に面していて、奥の土地が接道義務を果たせない場合、通常は奥に建物を建てることができません。
そこで、すべての土地が接道義務を果たせるようにするため、土地内に私道を設ける方法が取られます。
そして、その私道が特定の行政機関から指定を受け、位置指定道路となるのです。
位置指定道路の所有者は?
位置指定道路は、その道路が登記された人が所有者となります。
この道路は公共に管理される公道と異なり、所有者自身が管理やメンテナンスを行う必要があります。
所有者は一人だけでなく、各敷地の所有者に割り当てられることもあります。
したがって、位置指定道路に面した土地を購入する際には、所有者に関する情報も確認することが重要です。
見かけだけでは位置指定道路のように見える場合でも、実際には市町村などの自治体に移管されて公道になっている場合もあります。
このような道路の形態を調べるためには、地域の市役所で確認をすることが可能です。
位置指定道路と固定資産税の関係性
位置指定道路とは、一般的には私有地に存在する道路です。
通常、所有者はメンテナンス費用だけでなく、固定資産税も支払う必要があります。
しかし、地域の土地利用規制や法律によっては、場合によっては位置指定道路部分の固定資産税の免除が認められることもあります。
位置指定道路の固定資産税が非課税になる場合
国税庁では、私道でも「公共の用に供するもの、たとえば、通抜け道路のように不特定多数の者の通行の用に供されている場合」においては、固定資産税の課税対象から外れるとしています。
つまり、公衆が利用できる私道は、固定資産税が非課税となります。
具体的な条件として、道路の幅が基本的に1.8メートル以上あり、道路の両端が公道につながっている位置指定道路の場合などが挙げられます。
このような道路は、「公衆用道路」として地目の変更登記が可能です。
地目が公衆用道路となっている場合、さらに市区町村に「公衆用道路認定申請」を行うことで、固定資産税が非課税となります。
公衆用道路の認定申請を行う際には、測量図が必要ですので、土地家屋調査士に作成を依頼する必要があります。
この点に留意してください。
位置指定道路に関する注意点
国税庁によると、私道の中でも、「専ら特定の者の通行の用に供するもの、たとえば袋小路のような場合」は、土地の本来の価格の30%に相当する額で評価され、それを基に固定資産税が評定されることがあります。
言い換えると、不特定多数の人が利用することが想定されない場合、その私道は公衆用道路として認められず、固定資産税の負担が必要になります。
しかし、この条件を満たしていても、公共性の程度については市区町村によって基準が異なることがあります。
したがって、公衆用道路として認められるかどうかは、適切な審査を受ける必要があります。
また、公衆用道路として認められた場合でも、私道であることには変わりありません。
したがって、土地の所有者が変わった場合、相続税や贈与税などの課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
私有地内である私道は、個人または民間の所有物として扱われ、固定資産税の課税対象になります。
特定の地域では、建築物を建てるための土地には接道義務があることがあります。
また、私道の中には、特定の行政機関からの指定を受けた場合、それを位置指定道路といいます。
位置指定道路が公衆用道路として承認されている場合、固定資産税は免除されます。
ただし、公衆用道路として認められても、相続税や贈与税は免除されるわけではありません。